編集部の気ままにインプレッション 「200ドルの超新星 ダン・ヘンリー」(前編)

時計特集

『クロノス日本版』の精鋭?エディターたちが、話題の新作モデルを手に取り
好き勝手に使い倒して論評する待望の新企画がスタート。今回はアメリカの新鋭、ダン・ヘンリーのクロノグラフ。
価格以上のパフォーマンスが評判の1本を注文し、届いた現物を見てみると……。

清水の舞台から飛び降りることなく面白い時計が買えるとあらば

「1968」。クォーツ(ミヨタ製 Cal.6S20)。316L SS(直径41㎜)。50m防水。パンチング入りレザーストラップ。NATOストラップ付属。国際保証1年。200ドル。


 実に面白い時計ブランドを見つけてしまった。ブランドの名前はダン・ヘンリー。アメリカを拠点とする〝新進気鋭の〟ブランドらしい。『クロノス日本版』編集長の広田雅将もどこかのコラムで書いていたのでご覧になった方も多いと思う。10代の頃から古時計の蒐集を始めたダン・ヘンリー氏は独自のフットワークによって膨大な数の時計を買い集めていったが、何年も経つと自分の欲しい時計が見当たらない、もし仮に見つかってもとても手の出せる値段でないことに業を煮やし、なんと自分本意の時計を作ってしまうことを決心したという。噂が噂を呼び、彼の名を冠した時計は評判を呼び、今ではコレクションの数も5つを数えるようになった。

 ダン・ヘンリーの自身の時計を〝Affodable Vintage Watch〟(お手頃なヴィンテージウォッチ)と称している。ヴィンテージウォッチ=古時計という解釈が正しいならば、ダン・ヘンリーの時計はれっきとした現行品なので当てはまらない。しかも、ヴィンテージウォッチと呼ばれる製造から数十年の歳月が経っている個体でも、コンディションやブランドの知名度にこだわらなければ、今もって数万円のお手頃プライスで買えるものだってあるのは事実だ。

 しかし、そうした解釈の違いを一時脇に置いやってしまいたくなるほど、このアメリカ人コレクターの作る時計は魅力的だ。ちなみに、ダン・ヘンリーの時計は日本未入荷であり、ウェブサイトからオンラインでしか購入できない。となると相応のリスクは覚悟しなければならないと思うのだが、価格は190ドルから250ドルにしか過ぎない。清水の舞台から飛び降りることなく比較的廉価で面白い時計が買えるとあらば、挑戦しない手はないだろう。

 今回の「気ままインプレッション」は、知られざるダン・ヘンリーの時計を取り上げることにする。ただし、あくまでもオンライン販売に限定されているので、第1回目は、ウェブサイトで注文してから、実際に現物が届くまでの流れを紹介することにしよう。次回以降で改めて、時計本来の実力をインプレッションしてみたいと思う。

 ダン・ヘンリーのウェブサイト(danhenrywatch.com)から、まずはコレクションの全容を見てみたい。モデル名には「1939」「1947」「1963」「1968」「1970」と4桁の数字が冠されている。手頃なヴィンテージウォッチを名乗る現行品なので、これらのモデル名はある特定の年代であることに即座に気づくはずだ。最も〝古い〟年代の1939は1930年代に製造されたミリタリークロノグラフがテーマとなっている。タキメーター、あるいはテレメーターをダイアル外周と内周にプリントしたマルチプルスケールの精悍な二つ目クロノグラフだ。赤や黄色の挿し色がほどよく決まっている。また、この様式を模した時計らしく、プッシャーは大ぶり。ケースサイズは41㎜とある。古時計愛好家ならば、「オー」っと歓声のひとつもあげたくなるようなレプリカぶりが素晴らしい。気になるプライスを見ると220ドル。安い! もちろん中身は機械式でなく、クォーツだ。しかし、侮ってはいけない。搭載するのは日本のミヨタ製。これは楽しい。

 他にも往年のクロノメーターを想起させる3針の「1947」(スモールセコンドの位置が低いのでバランスが実に良い)や、1960年代のパイロットクロノグラフを模した「1963」など、ダン・ヘンリー氏の相当な好事家ぶりがうかがえるラインナップだ。すべてのモデルは限定生産。モデル名の数字がそのまま限定数になっているが、これはご愛嬌。人気が高いのはどう考えても1947か1963であろう。

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