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時計特集

グランドセイコー〝究極のクォーツGMT〟

 グランドセイコーを代表する傑作ムーブメントが、9Fクォーツである。年差±10秒という超高精度に加えて、機械式ムーブメントに匹敵する強大なトルク、そして理論上は約50年間油切れを起こさない超耐久性は、スタンドアローンで駆動するムーブメントとしては、最上級のひとつだろう。9Fクォーツ誕生25周年を迎えた2018年は、新しくGMT機能を追加。その驚くべき内容は、傑作9Fクォーツに相応しいものだった。

奥山栄一:写真 Photographs by Eiichi Okuyama
広田雅将(本誌):取材・文 Text by Masayuki Hirota (Chronos-Japan)
SBGN001

スポーツコレクション
キャリバー9F 25周年記念限定モデル SBGN001
9Fクォーツに加わった初のGMTモデル。レギュラーモデルの文字盤はラッカー仕上げだが、この限定版は「GS」と「9F」をパターン化した9F25周年限定型打ち文字盤を持つ。1カ所のみ「9F25」と入れられている点にも注目。文字盤の色はチャコールグレー。限定モデルは年差も通常の±10秒から±5秒に高められている。クォーツ(Cal.9F86)。SS(直径39.0mm、厚さ12.1mm)。10気圧防水。グランドセイコーマスターショップ限定。世界限定800本。37万円。10月12日発売予定。


9Fクォーツ誕生25年の熟成と再進化

 クォーツムーブメントは高精度だが、半面、針を動かすトルクは大きくない。そのため、針を動かすモーターを増やす以外、機能を追加する方法はなかった。ほぼ唯一の例外が、1993年初出のグランドセイコー9Fクォーツである。誕生25周年を迎えた2018年、機械式ムーブメントに匹敵するその強大なトルクは、GMT針と時針の単独修正機能を加え、それに連動した日付の先送り・逆戻し、さらに、瞬間日送り機能の共存を可能にしたのである。

スポーツコレクション
(左)SBGN003/(右)SBGN005
9FクォーツGMTのレギュラーモデル。時針の単独修正機能が備わったことで、使い勝手にいっそう優れる。昼夜の判別を容易にするための見返しのツートンカラー処理は、ペイントではなく発色の良いプリント仕上げ。リュウズも防水性の高いねじ込み式に改められた。リュウズを回した際の緻密な感触も9Fの名に恥じない。年差±10秒。クォーツ(Cal.9F86)。SS(直径39.0mm、厚さ12.1mm)。10気圧防水。グランドセイコーマスターショップ限定。33万円。2019年1月発売予定。

 2018年に登場した9FのGMTモデルは、GMT針による第2時間帯表示と時針の単独修正機能、そして時針の単独修正に連動した日付の先送りと逆戻し機能を持つ。これらはクォーツムーブメントに載せるのが難しい機能だが、9Fの強大なトルクがそれを可能にした。加えてこのモデルには、9Fの特徴である瞬間日送り機能が残された。当たり前に思えるが、時針の単独修正に連動した日付の先送りと逆戻し機能を持つムーブメントで、瞬間日送り付きのものはほぼない。使い勝手はいっそう優れるが、これらの機能の共存はかなり困難なのだ。

 9FクォーツにGMT機能を加えたのは、セイコーエプソンのウエアラブル機器事業部に所属する小池信宏氏。9Fの開発から携わってきた、いわば生き字引である。「9FにGMT機能と時針の単独修正機能を加える計画は、9F発表当初からありました。年差±10秒という高精度を実現したのに、時差修正のたびに時計を止めるは惜しい。瞬間日送り機能がなければ、これらの機能を加えるのは容易です。でも、9Fの特徴である瞬間日送り機能をやめてまで、時針単独修正機能を付加する気はありませんでした」

 時針単独修正機能に連動して、日付を先送り・逆戻しさせるには、筒車に連結して1日に1回転する日回し車に突起を付け、日付表示をひっかけて回すだけだ。設計はさほど難しくない。一方の瞬間日送りは、筒車の回転でバネにトルクを蓄積し、それを解放する力で日付表示を瞬時に動かす。時間をかけてバネをチャージする瞬間日送りと、日回し車の突起で引っ掛けて短時間で日付をじわりと先送り・逆戻しする時針単独修正機能は、設計が別物であり、その両立はかなり困難だ。

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