グランドセイコーを未来へとつなぐ温故知新の創造力

時計特集

〝GSを超えるGS〟 新スポーツコレクション

厳格なデザインコードの中で、さまざまな造形に挑んできたグランドセイコー。その集大成とも言えるのが、2019年に発表された新しいスポーツコレクションだ。グランドセイコーを象徴する獅子のモチーフを、ディテールだけでなく、装着感にまで反映させた点、その完成度は比類ない。

SBGC231
SBGC231

ブライトチタン、世界限定500本、グランドセイコーブティック、グランドセイコーサロン、グランドセイコーマスターショップ専用モデル、140万円。
SBGC230
SBGC230

18KPG、世界限定100本、グランドセイコーブティック、グランドセイコーサロン専用モデル、460万円。
スポーツコレクション スプリングドライブ20周年記念限定モデル
特別精度のスプリングドライブを搭載したクロノグラフGMTモデル。ラグを省き、4つの斜面を強調したデザインが目を引く。ケースの直径44.5mm、厚さ16.8mmと大ぶりだが、重心を下げ、全長を短くすることで軽快な装着感を得た。自動巻きスプリングドライブクロノグラフGMT(Cal.9R96)。50石。パワーリザーブ約72時間。20気圧防水。

 2019年、グランドセイコーはスポーツモデルに新しいアイコンを加えた。「スポーツコレクション スプリングドライブ20周年記念限定モデル」だ。グランドセイコーのデザインを統括する久保進一郎氏は語る。「2017年、グランドセイコーの世界観を大胆に表現したデザインを加えようと考えました」。そこで社内でデザインコンペを開催。勝ち残ったのは檜林勇吾氏のデザインであった。「リアルスポーツではなく、飼いならされない誇り高い男の強さを演出したい。これがそもそものアイデアでした。そしてオンでもオフでも、都会で使える時計。イメージしたのは高級SUVでした」(檜林勇吾氏)。

 本作は2018年発表の通称「タフGS」で作られたスポーツコレクションの考え方をベースに、グランドセイコーの象徴である獅子をデザインモチーフとして取り入れたものだ。ラグを短く切り、斜面を大きく取ったデザインは、獅子が爪で腕を掴むさまをイメージ。その〝爪〞を強調すべく、ザラツ研磨で整えた大きな斜面には筋目仕上げが施された。

 加えて、この時計は今まで以上に優れた装着感を持っている。時計の重心を下げて腕上のぐらつきを抑えたほか、新規設計のブレスレットは、厚いケース本体とのバランスを改善した。また、ケースもグランドセイコーでは珍しいラグレスだ。そのため、直径44.5㎜にもかかわらず全長は短く、取り回しはかなり良い。「理想の装着感を目指した」と檜林氏が語るのも納得だ。

SBGA403

SBGA403
同じく特別精度のベーシックな3針モデル。若さを強調すべく、文字盤には明るいイエローブラウンが採用された。時計とブレスレットの重量バランスも良好だ。自動巻きスプリングドライブ(Cal.9R15)。30石。パワーリザーブ約72時間。ブライトチタン(直径44.5mm、厚さ14.3mm)。20気圧防水。世界限定500本。グランドセイコーブティック、グランドセイコーサロン、グランドセイコーマスターショップ専用モデル。115万円。7月6日発売予定。

 獅子のモチーフを追求する姿勢は、ディテールにも見て取れる。インデックスも獅子の爪をモチーフにしたほか、文字盤には獅子のたてがみをイメージした模様をプレスで転写している。文字盤の色も同様だ。ライオンの毛の色は、年齢によって変わるという。そこでSBGA403はイエローブラウン、SBGC231はブラウン、SBGC230にはダークレッドが与えられた。 今までのグランドセイコーにはないデザインを盛り込んだ本作。もっとも、久保氏はこう語る。「デザインはまったく新しいように見えますが、基本的に、グランドセイコーのデザインコードは守っています」。

 基本的なデザイン文法を守りつつ、獅子のモチーフをデザインに昇華してみせた新しいスポーツコレクション。爪が腕を掴むというアイデアをデザインのみならず、装着感の改善策として明示した点、時計としてのパッケージングも非凡だ。これほど一貫性のある時計が、日本から生まれるとは誰が想像しただろうか?

(右上)たてがみを模した文字盤のパターン。金型に手作業で模様を彫り込み、それを文字盤に転写した後、ラップ仕上げを施し、研ぎ上げる。わずかにツヤを残したのは見事。針の完成度も高く、SBGC231のクロノグラフに関わる針はツヤ消しのブラスト処理で統一されている。
(右下)新スポーツコレクションの特徴が、大きな4つの斜面である。ザラツ研磨を施した後、“爪”を強調すべく、斜面にだけ筋目仕上げを施している。一見シンプルだが、4つの面の形を崩さずに、これだけ広い面を磨いていくのは非常に難しい作業である。極めて野心的な造形だ。
(左上)大きく湾曲したケースサイド。意図的に重心を下げただけでなく、ラグの下側も曲げることで、腕への接触面を増やしている。頭頂部に同心円状の溝を刻んだプッシュボタンは、高級オーディオに触発されたものだという。加えて、頭頂部を拡張することで接触面が大きくなり、操作感を改善する。
(左下)SBGC230とSBGC231は、スプリングドライブクロノグラフGMTのCal.9R96を搭載する。裏蓋の刻印からも分かるように、防水性能は20気圧もあるため、シチュエーションを選ばずに使えるだろう。写真が示す通り、肌に当たる角は意図的に丸められており、手首へのなじみは大変に良い。

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