「TIME TO MOVE 2019」で「これは!」と思った新作(オメガ編 Part 2)

時計特集

オメガ 「シーマスター アクアテラ GMT ワールドタイマー マスター クロノメーター」

渋谷ヤスヒト:取材・文・写真 Text & Photographs by Yasuhito Shibuya

5月中旬にスイスで開催されたスウォッチ グループのプレステージ&ラグジュアリー レンジの6ブランドの展示会「TIME TO MOVE 2019」において披露された新作で、個人的に「これは!」と思ったモデルを紹介する連載企画。第3回はオメガの新作パート2をお届けする。

シーマスター アクアテラ GMT ワールドタイマー マスター クロノメーター

最初にプレゼンテーションされた「シーマスター アクアテラ GMT ワールドタイマー マスター クロノメーター」のセドナゴールドモデル。自動巻き(Cal.8939)。38石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約60時間。18Kセドナゴールドモデル(直径43mm、厚さ14.12mm)。150m防水。C.O.S.C.認定クロノメーターおよびスイス連邦計量・認定局(METAS)によるマスター クロノメーター取得。耐磁性能1万5000ガウス。5年間の国際保証付き。244万円(税別)。

精密な北半球ディスクに感動

 今回は、オメガの新作で、技術的に面白く、個人的にいちばん魅力を感じたモデルをご紹介したい。オメガ本社のロビーで、偶然だが最初にプレゼンテーションされた「シーマスター アクアテラ GMT ワールドタイマー マスター クロノメーター」である。

 魅せられた理由は何よりも、文字盤の中央、北極点を中心に、レーザーエングレービングで作られた世界地図のディスクだ。その精密さと味わい深さは驚異的だ。

 レーザーエングレービングというと、時計の世界ではケースバックに文字や数字、エンブレムなどを彫刻するものという印象をお持ちの方が多いだろう。レーザーの加工技術の進歩は目覚ましい。

 さまざまな素材に簡単に加工が行えるようになり、この技術を用いた作品を制作しているアーティストも少なくない。紙や革、プラスチックなどの切断や彫刻、金属表面への名入れなども、店頭で行われるようになった。3Dプリンターのように、最も安いものなら6万円を切る価格で、誰もが購入して使えるようになっている。工場に置かれるような大掛かりな機械なら、ナノレベルまで精密な金属部品を作ることも可能だ。

この世界地図を表現したディスクの精密さと立体感は、見れば見るほど感動的だ。

 このシーマスター アクアテラ GMT ワールドタイマー マスター クロノメーターの世界地図ディスクは、グレード5のチタン素材を使い、レーザー・アブレーテッド(レーザーを物質の表面に当てることで、物質が溶融、蒸発、プラズマ化させる)技術で加工されたものだ。

 この技術では、当てるレーザーの波長やパルス幅を変えることで、さまざまな表面加工が行える。詳細は不明だがプレスリリースには、このディスクの海の部分と陸の部分は、このレーザー・アブレート技術で作られたと記されている。海の部分のテクスチャー、ブルーの美しさも印象的だが、見れば見るほど感心するのは山脈まで立体として緻密に描き出された陸地の部分だ。しかもこの色はどちらもレーザーの化学反応から自然に生まれたものだという。

 ワールドタイムで使われる世界地図を表現したディスクといえばエナメル製のディスクをイメージするが、レーザー・アブレーテッド技術を使ったチタン製ディスクには、それとは違う素晴らしさがある。しかもはるかに手頃な価格で実現できるのだ。

 腕時計において「顔」である文字盤の重要性はますます高まっている。ワールドタイムに限らず、この技術をもっと活用すればさらに魅力的な時計が作れるのは間違いない。

シーマスター アクアテラ GMT ワールドタイマー マスター クロノメーター
Cal.8939

 価格はSSケース&ラバーストラップモデルなら税別で100万円を切る95万円。ムーブメントはもちろん超耐磁性能を持つマスター クロノメーター、キャリバー8938である。

 オメガは今後、この技術をどのように活用するのだろうか。次の製品での展開も楽しみだ。


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