「TIME TO MOVE 2019」で「これは!」と思った新作(ブランパン編 Part 1)

時計特集

5月中旬にスイスで開催されたスウォッチ グループのプレステージ&ラグジュアリー レンジの6ブランドの展示会「TIME TO MOVE 2019」において披露された新作で、個人的に「これは!」と思ったモデルを紹介する連載企画。第5回はブランパンの新作パート1をお届けする。

渋谷ヤスヒト:取材・文・写真 Text & Photographs by Yasuhito Shibuya

ブランパン 「エアコマンド」

エアコマンド

エアコマンド
自動巻き(Cal.F388B)。35石。3万6000振動/時。パワーリザーブ約50時間。SS(直径42.5mm、厚さ13.77mm)。30m防水。世界限定500本。194万円(税別)。

幻のミリタリー・フライバック・クロノの復刻版

 ブランパンといえば、現代ダイバーズウォッチの原点とも言える「フィフティ ファゾムス」(1953年初出)が高い人気を誇る。「TIME TO MOVE 2019」において、ル・ブラッシュのアトリエで初公開された2019年の新作も、このコレクションと、エレガントなラグジュアリーウォッチコレクション「ヴィルレ」が中心であった。

 だが1モデルだけ、既存のコレクションに入らないスペシャルモデルがある。それが今回紹介する「エアコマンド」だ。1950年代にごく少数生産された、幻のバイロットウォッチの復刻版である。

 その原点は1950年代初頭、フランス国防省が求めた「ブラックダイアルで夜光インデックス、スモールセコンドを備えたフライバッククロノグラフ」という仕様に合わせて開発されたクロノグラフモデルだ。

 当時、世界各国の空軍もこの仕様のパイロットウォッチの採用を推進。すでにアメリカ海軍にアメリカの代理店「アレン・V・トルネック」を通じて「フィフティ ファゾムス」を納入していたブランパンはアメリカ空軍の入札のために、ダイバーズウォッチのフィフティ ファゾムスから着想を得て、パイロットウォッチのプロトタイプを12本のみ試作した。最終的にこのモデルがどのくらい製造され、アメリカ空軍に納入されたのかは明らかにされていない。プレスリリースには「ごく少数だった」と書かれているのみだ。

エアコマンド

これが「エアコマンド」のオリジナルモデルである。

CEOのマーク A. ハイエック氏の「マイ・フェイバリット」

 この12本製作されたプロトタイプのスタイルを現代によみがえらせたのが、世界限定500本のこの「エアコマンド」である。単なる復刻版ではなく、伝説のスタイルを踏襲しながら最新の仕様になっているのがこのモデルの大きな魅力だ。搭載ムーブメントのキャリバーF388Bは毎秒10振動、コラムホイール式で、もちろんフライバック機能を備えている。

 オリジナルはもちろん手巻きだが、このモデルは自動巻き化され、プロペラモチーフのゴールドローターを採用。実用的であり、大人の遊び心が感じられるディテールだ。

 時計師用の白衣を着て新作を自らプレゼンテーションしてくれたブランパン社長兼CEOのマーク A. ハイエック氏。その直後のタッチ&トライの最中、「どれが一番のお気に入りか?」という筆者の問いに対して、「エアコマンド」への強い思い入れを語ってくれた。

 ミリタリーテイストのパイロットウォッチを求める人にとって、これは今年ベストの1本だろう。

エアコマンド
自動巻き(Cal.F388B)。35石。3万6000振動/時。パワーリザーブ約50時間。SS(直径42.5mm、厚さ13.77mm)。30m防水。世界限定500本。194万円(税別)。


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