高級腕時計にチタンケースという概念をもたらしたローマン・ゴティエ

時計特集

長年スポーツウォッチにおいて採用されるものと一般的に認識されてきたチタンケースを、ドレッシーな高級腕時計の分野まで引き上げることに貢献してきたひとりにローマン・ゴティエ氏がいる。同氏の言葉とともに、「インサイト マイクロローター ナチュラルチタン&ブラックチタン」の誕生までを振り返りたい。

Originally published on watchtime.com
Text by Logan R. Baker

ローマン・ゴティエ

ローマン・ゴティエ創業者のローマン・ゴティエ氏。1975年、スイス生まれ。

ローマン・ゴティエ氏へインタビュー

 ローマン・ゴティエ初のチタン製ウォッチ「プレステージHMSナチュラルチタン」は、2011年に発表された。その時に受けた時計愛好家たちからの反発を振り返り、ローマン・ゴティエ氏はこう語る。「愛好家の方々は私がジュウ渓谷の伝統的な時計作りの体現者であると考え、貴金属ケースのモデルを望んでいました。プレステージHMSナチュラルチタンを発表したとき、人々は『なぜローマン・ゴティエのような伝統的な時計作りと、チタンケースを一緒にするんだ?』と言いました。それらの反応に対し私は『この件については、私にお付き合い願いたいのです』とお答えしました」。

 当時の人々の反応は、それまでの数十年間では時計業界にチタンが浸透しきるに至らなかったことを示したようであった。日本では1970年代からセイコーのチタン製ダイバーズウォッチや、シチズンの電子時計「エックスエイト」が発表されている。80年代にはIWCとポルシェ・デザインによるコラボレーションモデルが送り出された。しかし、上記のようにチタンがケース素材に使われ始めた初期には、主にスポーツモデルにのみ採用されている状況であった。2000年代になっても、チタン素材は高級時計の中では「モダンな素材」の域を出なかった。

 しかしプレステージHMS発表から5年の間で、徐々にコレクターや専門家たちの意識に変化が生まれたようである。ローマン・ゴティエがプレステージHMSに続く、ナチュラルチタンとブラックチタン採用の腕時計「ロジカル ワン」を2016年に発表すると、大規模なコングロマリットから小規模の時計ブランドまで、チタンの採用が大いに広がったのである。

ローマン・ゴティエ

ローマン・ゴティエの工房で行われる、手仕上げによるブリッジの面取り。

「高級時計の愛好家はチタンを選ぶのにいまだに抵抗があるかもしれません。しかし、私には彼らがチタンケースの腕時計を選ぶようになるということに対して確信を抱いていました。そして、私自身が先駆者になり、愛好家の支持を待つことを決意したのです」とゴティエ氏は続けた。「きちんと仕上げられれば、チタン素材は同様に価値を持ち、明らかにそれを好む人もいるのです」。

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