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トゥールビヨンはなんのためにあるの?/ぜんまい知恵袋〜時計の疑問に答えます〜

時計特集

Q:トゥールビヨンはなんのためにあるのですか?

A :時計関係者でも、正確に理由を説明できない人が多いのがトゥールビヨンのメリットです。トゥールビヨンは機械式時計の心臓部であるテンプを、数分間に1回転させる機構です。狙いとしては、時計の向きが変わることで起こる時間のずれ(姿勢差誤差という)を強制的に解消する、というものです。発明された当時、携帯する時計は懐中時計しかありませんでした。つまり時計は基本的に、縦方向で保管されるものだったのです。縦方向のみの保管方法で起こりうる時間のずれを解消するには、トゥールビヨンは有効だったのです。

クラシック トゥールビヨン エクストラ - フラット オートマティック 5367

トゥールビヨンはもともと懐中時計の姿勢差解消のために開発された機構だったが、腕時計では着用時にさまざまな姿勢をとることになるため、その効果が薄れてしまった。さらに、重いキャリッジを回すために主ゼンマイのトルクを強くしなくてはならないため、ムーブメントの高振動化が難しく、また、そもそも調整に手間が掛かるため、トゥールビヨン搭載機で高い精度を出すことは困難とされる。写真のブレゲ「クラシック トゥールビヨン エクストラ - フラット オートマティック 5367」ではキャリッジを軽量なチタンとすることで、2万8800振動/時というハイビートを実現。さらに脱進機とヒゲゼンマイに伝達効率の高いシリコン素材を使用するなどの結果、トゥールビヨンを搭載しつつも高い精度を実現している。Photograph by Eiichi Okuyama

腕時計では真価を発揮しづらい

対して腕時計は、腕の動きによってさまざまな姿勢を取り続けます。そのため、ユリス・ナルダンなどで複雑時計を作ったルードヴィヒ・エクスリン博士などは、「腕に着けることで、時計の向きは強制的に変わる。だからトゥールビヨンは不要だ」と述べています。確かに、腕時計の場合、懐中時計ほどトゥールビヨンのメリットはないでしょう。また、独立時計師であるフランソワ-ポール・ジュルヌも「そもそも腕時計に搭載するトゥールビヨンは正確でない」と語りました。

もちろんパテック フィリップやブレゲ、F.P.ジュルヌやリシャール・ミルのように、トゥールビヨンを搭載していないモデルよりもトゥールビヨン搭載モデルのほうが高精度を出す時計もあります。しかしこの場合、トゥールビヨン自体が優秀だからというよりも、正確さを出しにくいトゥールビヨンで、正確な時計を作ったメーカーの技術力が優れていた、と考えるべきでしょう。


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