【時計を外し、身を委ねる旅寓】THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS 熱海

時計特集

日本屈指のフランス料理店「レストランひらまつ」を運営するひらまつが手掛ける一軒。賢島に続き、2016年10月、熱海の高台に誕生した。ホテルであり、旅館であり、オーベルジュであり、和と洋の多彩な要素が調和された空間で、穏やかで悠々とした非日常の滞在を約束してくれる。都心からすぐに足を延ばせる距離にあるこちらには、ふと思い立ち、当日予約で訪れるゲストも多いという。

外川ゆい:取材・文 Text by Yui Togawa
松川真介:写真 Photographs by Shinsuke Matsukawa

THE HIRAMATSU HOTELS

日が暮れたメインダイニング。各テーブルに置かれたキャンドルの灯りが、温かな雰囲気を醸し出す。ディナーは、およそ8品のフランス料理で構成され、その日の食材から受けたインスピレーションで、ソースや盛り付けを決める。

古今、和洋が紡ぎだす景趣と共に時を刻む宿

 樹々の間を抜けると、老舗旅館のような趣漂う立派な外観が現れる。靴を脱ぎ、チェックインをする空間に案内されると、誰もが息を呑むだろう。山側の景色から一転、眼前に遮るものなく相模湾が広がり、初島をはじめ、伊豆半島、大島、三浦半島、房総半島まで見渡すことができる絶景が広がるのだから。とりわけ、夕暮れ時と太陽が昇る時間帯は刻一刻と空と海の様子が変化し、目が離せなくなるほど。湯船につかりながら眺めれば、全身でその瞬間を堪能している気分に浸れる。満月やその前後に宿泊したならば、海面に浮かび上がる神秘的な月の道もぜひご覧いただきたい。

(左)夕暮れ時の2階ツインルームからの眺め。浴槽は屋内にあるが、ベッド、湯船、テラスが一直線に配され、窓を開け放つと半露天風呂として楽しめる。
(右)ラウンジテラスから望む朝日。海と連なるように設計された水盤にも空が映し出され、より迫力ある光景に。

 客室は、わずか13部屋。玄関からすぐの場所にあるダイニングと両サイドの「松の間」と「梅の間」は、現代の名工である木下孝一棟梁による数寄屋造り。その下に、洋風の客室を2フロア増築した構造になっている。いずれの客室からも海を望むことができ、熱海の名湯の温泉風呂を完備。館内には、富士山を描き続けた片岡球子の作品、ジョアン・ミロの絵画、井上有一の書、調度品、さらに至る所にアンティークや北欧の家具などを配し、まるでミュージアムのよう。和と洋のテイストが融合する様から「ヨーロッパの旅館」と謳っているのも頷ける。

THE HIRAMATSU HOTELS

「松の間」は、広々とした居間と寝室を中心に、相模湾を望む専用の露天風呂、内風呂を備えた数寄屋造りの客室。112㎡+庭34㎡。

THE HIRAMATSU HOTELS

「松の間」は、広々とした居間と寝室を中心に、相模湾を望む専用の露天風呂、内風呂を備えた数寄屋造りの客室。112㎡+庭34㎡。

 夕食の席に着くと、マッチが擦られ、キャンドルに炎が灯される。幻想的な空間も相まって、まるで魔法の世界へ導かれるような感覚だ。料理長を務めるのは「レストランひらまつ パリ」でも研鑽を積んだ三浦賢也氏。この地に移り住み丸3年。食は、やはり人と人。日々の丁寧な積み重ねによって、地元の食材にも精通し、相模灘で獲れる季節の鮮魚はもちろんのこと、地元の「ふじやま和牛」「十二庵」の湯葉など静岡の食を主軸に日本各地、世界各国の食材を柔軟に取り入れ、歴史ある数寄屋造りの空間とダイニングからの絶景に寄り添うようなフランス料理が展開されていく。秀逸なワインやチーズのラインナップ、心地よい距離感のホスピタリティ、最高峰のレストランが熱海の地に根付いている。

 都心からすぐ訪れることができる距離でありながら、日常が一切目に映らない。熱海の地で、これほど贅沢で上質な滞在が叶うとは。

(左)「熊本県産の和栗のモンブラン バナナとパッションフルーツのパルフェグラッセ ヘーゼルナッツのヌガティーヌ」。
(右)「ふじやま和牛フィレ肉のロースト 熱海伊豆山《徳田椎茸園》の原木椎茸 柚子胡椒風味のソース・ベアルネーズ」。


THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS 熱海

静岡県熱海市熱海1993-237 ☎0557-52-3301
チェックイン15:00/チェックアウト11:00 全13室
2名1室利用時の2食付き2名分料金12万2620円~
(消費税・サービス料・入湯税込み)

Recommend おすすめ記事

News ニュース