ショパール/L.U.C Part.2

アイコニックピースの肖像

Micro Rotor Automatic

L.U.C Cal.96.01-L[L.U.C 1.96]
マイクロローターにダブルバレル、自動巻きにラチェット式を採用したムーブメント。日の裏車の押さえにルビーを配するなどの配慮も秀逸だ。自動巻き(直径27.4mm、厚さ3.3mm)。32石(後に29石)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約65時間。巻き上げヒゲ。

L.U.C Cal.96.03-L[L.U.C 3.96]
L.U.C 1.96の量産型。ヒゲゼンマイが平ヒゲに、エッジの処理がダイヤカットに変わった他、文字盤側のペルラージュ径がやや拡大された。またジュネーブ・シールも取得していない。それ以外は仕上げ、スペックともに1.96にほぼ同じ。現行のローターは1.96同様の22K製。


 初のLUCムーブメントとなったのが、マイクロローター自動巻きの1.96である。発表は1996年8月。原型を手がけたのは〝神の手を持つ〟ミシェル・パルミジャーニ氏であり(最終的に監修したのは非常に著名な独立時計師だ)、プロジェクトをまとめたのはパテック フィリップ出身で、ジュネーブ時計学校の教授も務めたダニエル・ボロネージ氏であった。ちなみにこの試みに触発されたパルミジャーニ氏は、後に自身でパルミジャーニ・フルリエを起こすことになる。

 プロジェクトの開始は93年初頭のこと。設計に携わったパルミジャーニ氏は「ショパールからはふたつの香箱を持つ、自動巻きの設計を依頼された」と語る。社内コードはASP94。完成した第1号機は2万1600振動/時だったが、すぐに振動数とパワーリザーブが変更された。95年末にプロトタイプが完成し、翌年の8月からは製品版の試作がスタート。年末からは量産が始まった。

L.U.C Cal.96.04-L[L.U.C 4.96]
1998年初出。地板側に置かれた3番車が秒カナを回す、インダイレクトセンターセコンドを採用する。この方式だと秒針の挙動は不安定になるが、ショパールはよく抑制している。基本スペックや仕上げは、上のL.U.C 3.96に同じ。

L.U.C Cal.96.17-L[L.U.C 96HM]
L.U.C 3.96から秒針と日付表示を省いたのがL.U.C 96HM(現96.17-L)。L.U.C 1.96の弱点であった針飛びなどは、現在ほぼ改良された。なお石数が32石から29石に減っているが、理由は日の裏側に用いる3つのベアリングをカウントしなくなったため。

L.U.C Cal.96.18-L[L.U.C 96T]
「テック ツイスト」が搭載するL.U.C 96T。文字盤を省いた構造のため、日の裏側はすべてジュネーブ仕上げ。秒針の位置がずれているのは、ムーブメント自体を傾けて取り付けてあるため。基本的なスペックと仕上げはL.U.C 3.96に同じ。2007年初出。

L.U.C Cal.96.19-L[L.U.C 96TB]
左モデルの色違い。TBとは「テック ブラック」の略。なおTBには印字が白のバージョンと、限定モデル用として、色が入れられていないバージョンのふたつが存在する。基本的なスペックと仕上げは左に同じ。ショパールはメッキの質も極めて良い。


 共同設計者のボロネージ氏とは、好きなムーブメントについて話をしたことがある。彼が好みとして挙げたのは、パテック フィリップの自動巻き、27-460Mであった。ラチェット式の自動巻きとしては、今なお最高峰とされる27-460M。ボロネージ氏が新しい自動巻きに、往年の傑作に比肩する機構を載せようと考えたのも自然な成り行きだろう。

 つまりLUCの1.96とは、ショパール初の自動巻きというだけでなく、往年の大傑作をも超える試みでもあったわけだ。ただし、「妥協は一切したくなかった」というその結果として、お世辞にも1.96の設計は量産向きとは言い難かった。加えてショイフレ氏の完璧主義が、生産性をいっそう悪化させた。コストを考えれば仕上げを簡素にすべきだが、ショイフレ氏はそれを好まなかったのである。1.96は、見えない部分まで、すべて手作業で仕上げられることになったのである。

L.U.C Cal.97.01-L[L.U.C 1.97]
L.U.C 1.96をトノー型に改めたのがL.U.C 6.96(後のL.U.C 1.97、97.01-L)である。2000年初出。初期のL.U.Cは突出した仕上げを持つが、現行ムーブメントの仕上げも量産品としては最良のひとつに数えられる。縦27.6×横28.15mm。巻き上げヒゲ。

L.U.C Cal.97.03-L[L.U.C 3.97]
こちらはL.U.C 3.96をトノー型に変更したもの。基本的なスペックと仕上げは、3.96に同じ。なお96系のマイクロローターは、耐震装置にインカブロックを用いる。例外はQFやテック用のL.U.C 9.96。これのみ保持方法を変えて耐衝撃性を高めている。

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