IWC/アクアタイマー Part.1

アイコニックピースの肖像

 時計業界誌『Die Uhr』の1967年7月号に、初代アクアタイマーの詳細が記されている。2時位置のリュウズの先端に歯車を取り付け、文字盤の外周に置かれたベゼルを回す構造は、シェルパ・ウルトラドライブのベゼルにまったく同じだ。

CAT

初代と第2世代アクアタイマーの採用した防水システムがCATである。ただし第2世代ではCATの名称はなくなった。リュウズに圧力がかかると、内蔵されたラバーとバネが収縮してリュウズ回りの気密性を高める。同年代のインジュニアなども採用した機構である。

 もっともIWCは、これをほかのコンプレッサーケースとは違う、と見なしていたふしがある。発表当時のカタログでは、ユニークなインナー式の回転ベゼルには一切触れられず、代わりにCATというシステムが説明されている。その構造はかなりユニークだ。リュウズの内部にはラバーが充填してあり、水圧がかかるとラバーが圧縮される。それに伴い、リュウズの中に内蔵したスプリングも縮み、ケースの密封度をいっそう高める。スーパーコンプレッサーケースの防水システムをリュウズに転用しただけだが、IWCはそうやって差別化を図ろうとしたのだろう。

 1968年、IWCは防水性能をより高めた新型アクアタイマー(Ref.816AD/1816)をリリース。防水性能を高めたCATリュウズはそのままだったが、風防にミネラルガラスが採用され、裏蓋の構造が一新された結果、防水性能は30気圧に向上した。当時のブローシャはこう説明する。
「IWCのアクアタイマーは、300m防水を保証した特別なハードウォッチです。またこの時計は結露しません。リュウズと裏蓋は圧力を自動的に均一にするシステムで固定されています。(中略)ダイビング時の安全性=潜水時間を調整する回転可能なベゼルは、ケース内で保護されており、第2のリュウズで作動します。そのため、ベゼルは水中の障害物によって邪魔されることはなく、腐食も、固着も、剥がれ落ちることもありません」
 もっとも、初代と第2世代のアクアタイマーは、商業的に成功を収めたとは言えなかった。一説によると、ふたつを併せた生産数は約2000本。本格的なダイバーズウォッチの出現は、82年の「オーシャン2000」を待たねばならない。

Contact info: IWC Tel.0120-05-1868

Part.2 を見る
https://www.webchronos.net/iconic/34942/

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