鳴り物時計第3回「ミニッツリピーター Part.1」

時計機構論

オーデマ ピゲ
「ジョン・シェーファー・ミニッツリピーター」

オーデマ ピゲは1892年に世界初のミニッツリピーター腕時計を開発し、1907年にはアメリカの富裕な実業家ジョン・シェーファーの注文によるこの伝説的なモデルを製作。文字盤の数字を"JOHN SHAEFFER"のアルファベットに置き換え、ゴールドとプラチナのコンビケースに直径12リーニュ(約27mm)のミニッツリピータームーブメントを収める。オーデマ ピゲ・ミュージアム蔵。


 ところで、リピーターがリピートする(繰り返す)のは何なのかというと、機構を操作した時点で過ぎていった時刻である。それを耳で聞いて分かるように音に変換し、チャイム音で繰り返すゆえに“リピーター”なのだ。ただし、機構の作動中も時計自体は先に進んでいるから、現に今ダイアルで見ている時刻が必ずしも、そのまま反映されているわけではない。

 18世紀から現代まで一般的に使われている古典的な方式は基本的に下記の通りだ。音を発するのは、2本のハンマーと、低音と高音にそれぞれ調整されたリング状のゴングである。ユーザーが任意に作動レバーなどを操作すると機構に必要な動力が供給され、ハンマーがゴングを叩くストライク音で時刻を知らせる。ストライク音は連続する3パートから成る。

(1)時単位の数(アワー):低音の単音で、1回=1時から12回=12時。

(2)60分を15分単位に分割した数(クォーター):高音と低音を交互に組み合わせて鳴らし、高音→低音の1セット=15分、2セット繰り返し=30分、3セット繰り返し=45分。

(3)15分に満たない残り分数(ミニッツ):高音の単音で、1回=1分から14回=14分まで。

 ストライク音の回数が最も多くなり、よくデモンストレーションにも使われる12時59分の例ではこうなる。
●まず低音が12回鳴って12時。
●続いて59分を15分単位で割ると(15分×3回)+14分だから、高音と低音との組み合わせによるクォーターを3セット打って45分。
●最後に残った14分を高音で14回打つ。
 音の数は、(12)+(2×3)+(14)の合計32回にもなる。時間数は聞こえる低音の回数のままなので分かりやすいが、分数が15分を超え、15分で割り切れない場合は、クォーターと残りのミニッツのシークエンスを数えながら合算しなくてはならない。いずれにせよ、ダイアルを見れば一目瞭然の時刻も、音を聞き、頭で計算するとなるとそれほど易しくはない。

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