鳴り物時計第3回「ミニッツリピーター Part.1」

時計機構論

針の位置情報をストライク動作の回数に変換する重要な役割を担うのが「スネイル」と呼ばれる特殊な形状のカム。ミニッツリピーターには、アワースネイル①、クォータースネイル②、ミニッツスネイル③の3つがあり、現代の腕時計の場合も、カムの基本的な形状や作動原理は18世紀の頃と変わらない。イラストはA.ランゲ & ゾーネ「グランド・コンプリケーション」の機構図。

 次にミニッツリピーター独特の精巧な複雑機構について、概略を簡単に説明する。まずダイアルの針の位置情報を伝えるのは、カタツムリのような形をした「リマソン(フランス語)」もしくは「スネイル(英語)」と伝統的に呼ばれるカムだ。このカムをなぞってレバーが時刻の時間数と分数を読み取り、ラック(歯竿)を動かして、ハンマーのストライクへと続く。

(1)時刻の時間を読み取るのは、時針を動かす歯車と連動するカムのアワースネイル。12時間で1周するこのカムの外周には角度30°ごとに階段状に段差をつけた12の突起があり、1時間につき1段下がっていく形状を持つ。このカムに接触するレバーが段差をなぞり、時針の位置を識別する。情報は12歯のラックに伝わり低音用ハンマーを動かす。作動は1回から12回。

(2)15分単位についてもほぼ同様だ。分針と連動して60分で1周するカムのクォータースネイルは、角度にして90度、分数で15分ごとに4段階に分けられた段差がある。これをなぞるレバー付きのラックがクォーターの0、1、2、3の4パートを識別し、ラックが高音用と低音用のハンマーを交互に動かす。作動はセットで1回から3回。

(3)分数を告げるカムは4本の手を持ち、それぞれ外側に14の鋸歯を刻み、その姿は手裏剣を連想させる。クォータースネイルと一緒に分数をコントロールするこのカムから得た情報がラックに伝わり、高音用ハンマーを1回から14回作動させる。

  説明を読むより聞くのが早い。最近はウェブサイトで音の例を聞くこともできるので、ぜひトライしてみるといい。

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