「アストンマーティンDB11 AMR」日本上陸!

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[GENROQ Web 転載記事]
野口 優:取材・文 Text by Masaru Noguchi
小林邦寿:写真 Photographs & Movie by Kunihisa Kobayashi

ASTON MARTIN DB11 AMR
アストンマーティン DB11 AMR

従来型に代わる新たなV12モデルの意味

 アストンマーティンは、代表作でもあるDB11シリーズに自社のサブブランドであるAMRの名を関した「DB11 AMR」をラインナップに加えた。日本での正式発表が東京オートサロンの会場だったから、ご記憶の方も多いだろう。明るめのレーシンググリーンにイエローのストライプ、カーボンルーフがインパクトを与えるだけに(すべてオプション)、多くの人は、AMRの名も重ねて“過激”なイメージを連想するはずだ。

 しかし、実際は違う。いや、正確に表するならDB11 AMRは例外と言ったほうが正しいのかもしれない。そもそもこのAMRとは、アストンマーティン レーシングの略。即ち、FIA-GTを筆頭にレースシーンで活躍するGTマシンのノウハウを受け継いだ、レーシングライクな仕様となるのが狙い。もちろん、AMR自体の本質はそうだ。だが、このDB11 AMRに限っては、これまでのDB11に代わってラインナップされるV12搭載モデルにあたることも担うため、こちらの解釈を変える必要がある。

AMRの名はきっかけ。本質は改善である

 何故ならこのDB11 AMR、主に変更されているのは、フロントのアンチロールバーを0.5mm拡大し、ダンパーをピストンスピードの遅い領域のみ減衰を高めたのみだからだ。元来、DBシリーズというのは、純然たるGT=グランドツアラーを基本にしているため、スーパースポーツカーとは異なる。わかりやすくいうなら、快適性を維持したまま超高速域までこなし、長距離移動も苦にならないというのが本質。よってこのDB11 AMRは、あくまでもGTの域を脱しない。ここがポイントでもある。

 では、このDB11 AMR、何が特徴なのか? 答えは簡単である。アストンマーティンが狙ったのは、ずばり反省。フロントに搭載される5.2リッターV12ツインターボエンジンもトルクは同じ700Nmながら、パワーは608psから639psに強化されているとはいえ、それでも注目すべきはシャシー性能の改善である。

 従来型のDB11がデビューした当時、アルミプラットフォームもエンジンもオールニューとしたことで話題になった。だが、恐らく開発期間が短かったのだろう、正直にいま告白すると、DB11の初期モデルは、けっして褒められるレベルにはなかった。というよりも未完成感は否めないまとまり方だったのは事実である。中でもリヤ・サブフレーム周りのセッティングは極めて微妙で、トラクションを活かせないうえ、粘る様子も希薄。おまけに乗り心地も・・・といった具合に、どこか疑問の残る出来栄えだった。

 しかし、それが後に加わったDB11 V8では改善され、リヤ周りの不安感を払拭、攻め込んだ時の動きが激変したのである。そして同時に、一体、V12モデルのほうはどうなっているんだ!ということも明白になってしまった。もちろん、ちょい乗りくらいのレベルでは気づくはずはない。初期型のDB11に乗っているオーナーで、普段使いがほとんどという人には無関係に思うだろう。

全体的に“シャキッ”とした!

 だが、今回のDB11 AMRは、初動からしてその違いがわかるほど良くなっている。たった0.5mm、わずかな減衰の違いで、こうも変わるのかと思うくらいにシャシー性能が改善されている。もちろん、リヤのサブフレーム周りも改善後だから尚さらだろう。初期型で未熟だった箇所を反省したからこそ、こうなったというのが(記憶の中で)乗り比べると解るほど、全体的に“シャキッ!”とした。もしかしたら、その他にも隠れて改善点を多数、施している可能性をも伺わせるほどだ。

例えば、街中の交差点を曲がるだけで、単純に乗っていて楽しいと思わせる。しかも、きめ細かいダンピングのおかげで乗り心地も快適性を維持しながらも、タイヤのグリップが解りやすくなっている。電動パワーステアリングの設定も巧みで、ドライブモードによって変化するものの、GTモード(ノーマルモード)であれば取り回しもしやすく、扱うにもごく自然に“サラッ”と乗りこなせる。こうした一面は、やはりGT=DB11ならでは。まるで高級なスーツを着こなすのと同じように、紳士的な振る舞いを見せるから、実にダンディである。

本質を失わないアストンマーティン

こうしたダンディズムは、スポーツモードやスポーツプラスモードに入れてワインディングを攻めても基本は同様。確かに動的資質は、多少は過激に変化するとはいえ、本質を失わないのがDB11流で、アストンマーティンの美点。けっして639psのパワーをむやみに使わせないよう、巧みに設定されたギアリングをもつ8速ATにより、ドライバーの心をもコントロールするかの如く、無駄に高揚感を与えないのがいい。

 とはいえ、それなりに攻め込むと、期待に応えてくれるのも最新型アストンの流儀。先にも触れたように、わずか0.5mmの効果が功を奏し、曲がるという行為を楽しませてくれるのだが、スーパースポーツモデルとの違いも実感する。それこそ、GT=グランドツアラーから脱しない、適度な刺激だ。つまり、DB11 AMRに乗ってアストンマーティンの狙いをあらためて思い知らされたのは、ここである。無駄なパワーは使うな!というメッセージとともに、トルクとシャシーを活かせ!と言われているようで、ここに活路を見出すと、たとえタイトターンの多いワインディングでもクルマが活きることを知ることになる。

 そう、もし、このDB11 AMRで不満に思うなら、そして、さらなる刺激がほしいのであれば、いわずもがな「DBSスーパーレッジェーラ」を選べばいいのである。普段は快適に移動しながらも、時には刺激が欲しいという向きには、このDB11 AMRは最適な選択となるはずだ。きっと、ジェームス・ボンドもDB11 AMRのほうを選ぶ気がする。汗をかかない、スポーティさをもつのが、DB11 AMR。サブブランドの名を関するのは、きっかけだけ、と解釈したほうがいいだろう。私にはそう思えてならない……。

【アストンマーティン DB11 AMR オリジナル動画 前編】

【アストンマーティン DB11 AMR オリジナル動画 後編】

【SPECIFICATIONS】

アストンマーティン DB11 AMR
ボディサイズ:全長4750 全幅1950 全高1290mm
ホイールベース:2805mm
車両重量:1870kg
エンジン:V型12気筒DOHCツインターボ
総排気量:5204cc
最高出力:470kW(639ps)/6500rpm
最大トルク:700Nm/1500rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:RWD
ステアリング形式:パワーアシスト付きラック&ピニオン(電動式)
サスペンション形式:前ダブルウイッシュボーン 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前255/40ZR20 後295/35ZR20

CO2排出量(EU):265g/km
燃料消費料(EU複合):11.4L/100km

最高速度:334km/h
0 – 100km/h加速:3.7秒



Contact info: アストンマーティン ラゴンダ リミテッド https://global.astonmartin.com/ja

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